住宅に関する用語でZEHという言葉をよく耳にするようになりました。
ZEHとは、Zero Energy Houseの略であり、住宅で消費するエネルギーをゼロにするという意味です。
しかし消費エネルギーを完全に0にするのは不可能なので、作り出すエネルギーを消費エネルギーと同じ、もしくは多くするという取り組みです。ですからZEH住宅には、太陽光発電などのエネルギーを作り出すための設備が必要となります。
ZEH住宅のメリットとデメリットについてご紹介します。
ZEH住宅の5つのメリットとは？
住宅にエネルギーを作り出す設備がある事と断熱効果素材を使用する事が、ZEH住宅の条件です。
具体的にどのようなメリットがあるのか調べましょう。
災害時に非常に強い
大地震や津波、洪水などの大災害が起きるとライフラインが停止することがあるでしょう。
実際、過去のデータを見てみると数日から数週間にかけて停電が続いたという例がいくつもあります。
ZEH住宅には、太陽光発電システムなどが完備されているため、停電時であってもエネルギーを作ることが可能です。もちろん作り出したエネルギーを保存する蓄電池の設置は、必須条件ではありません。しかし発電システムに加えて蓄電池を用意するなら、災害時にも電源を確保できるようになります。
ヒートショック対策
ZEH住宅の条件は、発電システムだけでなく高断熱素材を使用して建設している事も条件になります。
高断熱システムを使用し住宅全体の室温が安定しているため、部屋ごとの温度差が少なくなります。
近年問題になっているのが、部屋ごとの温度が異なる事が原因で起きるヒートショックと呼ばれる症状です。断熱効果の低い家では、冬場に生活している部屋のみを温めているため、部屋の移動やトイレに行くと急激な温度変化が生じます。急激な温度差によって血圧の変化が起きてしまい、脳梗塞や心臓発作になるケースが増加しました。
しかし家全体の断熱効果が高いZEH住宅であれば、部屋ごとの温度差を減らせるため、ヒートショックは発生しづらくなるでしょう。
光熱費の節約につながる
光熱費は毎月かかる費用なので、できるだけ節約している方がほとんどでしょう。
中には、夏場はとにかく我慢して扇風機だけで過ごしている方や冬場は部屋でもダウンを着て過ごしている方もいるかもしれません。
ZEH住宅であれば、断熱効果が高いため冬場は外気よりも暖かく、夏場は涼しくなるため、季節の変わり目であればエアコンなどは必要なくなります。
加えて太陽光発電システムなどが完備されているため、夏や冬には発電したエネルギーを利用して暖房や冷房を使用できるようになります。
仮に発電した量が使用量よりも多くなるなら売電も可能です。売電金額を生活費に回すこともできるでしょう。
地球環境への配慮
日本でメインに使用されている発電システムは火力発電であるため、温室効果ガスの排出が問題になります。
しかし太陽光発電システムであれば、一切温室効果ガスが発生しないため、地球環境にも最適なエネルギー源と言えるでしょう。地球環境の保護は次世代の生活を守ることにつながるため、非常に重要でZEH住宅は地球環境保護の面で大きな役割を担うことになります。
ZEH住宅補助金を受けられる
政府としてZEHを推進しているため、住宅にZEHシステムを導入する時に政府や自治体から補助金を受けられます。
電気代を節約できるシステム導入に補助金を利用できるのは、大きなメリットになるでしょう。
ZEH住宅の2つのデメリット
多くのメリットがあるZEH住宅ですが、デメリットもあるためバランス良く考察しなければなりません。
発電システムによって住宅のデザインに制約が出る場合もある
太陽光発電システムを導入するためには、住宅の屋根を利用しなければなりません。
太陽光パネル設置によって屋根の美観は大きく損なわれる可能性もあり、屋根のデザインが台無しになってしまいます。
加えてパネルの設置には理想的な角度があるため、屋根の角度も太陽光パネルの影響を大きく受けてしまいます。
発電した電気を貯蓄するための蓄電池を設置する場合、家の外観にも影響を与えるようになるでしょう。住宅のデザインにこだわりのある方であれば、ZEH導入はデメリットになってしまう可能性もあります。
住宅の建設コストが高額になる
ZEH住宅であるためには、断熱効果の高い素材を利用することとエネルギーを作り出すシステムの導入が必要です。
防熱素材を使用した住宅建設自体のコストは高くなり、さらに発電システムの導入が必要になるため、初期費用が数百万円高くなるでしょう。毎月の光熱費が安くなるとはいえ、やはり初期費用が数百万円も上がるのは大きなデメリットになります。
ZEH住宅のまとめ－メリットの方が多いのか
全体的に見るとZEH住宅には、メリットの方が多いと言えるでしょう。
現在であれば、政府や自治体からの補助金制度も充実しているため、付加的な設備の導入費用の大部分を補助金でカバーできるはずです。
確かに初期費用が高額になってしまうのは大きなデメリットではありますが、住宅建設は20年30年という長い視点で考える必要があります。長期にわたり光熱費を軽減できる事や災害時でも電気を使用可能になるメリットは、検討に値する点と言えるでしょう。